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疎開

1945729日朝、太宰治と家族は生家へ疎開するために上野駅から汽車に乗り込んだ。

 

前夜、青森市に70機以上のB29が雨のように焼夷弾を投下。明け方には一面廃墟と化し、

 

その爆撃の様子は山を越えた故郷金木からも赤々と空を染めて明るく見えたという。

 

 

 

 

 

 

太宰治「庭」より   

     

昭和二十年、七月の末に、私たち家族四人は上野から汽車に乗りました。私たちは東京で罹災してそれから甲府へ避難して、その甲府でまた丸焼けになって、それでも戦争はまだまだ続くというし、どうせ死ぬのならば、故郷で死んだほうがめんどうが無くてよいと思い、私は妻と五歳の女の子と二歳の男の子を連れて甲府を出発し、その日のうちに上野から青森に向う急行列車に乗り込むつもりであったのですが、空襲警報なんかが出て、上野駅に充満していた数千の旅客たちが殺気立ち、幼い子供を連れている私たちは、はねとばされたおされるような、ひどいめにい、とてもその急行列車には乗り込めず、とうとうその日は、上野駅の改札口の傍で、ごろ寝という事になりました。

〜中略

翌朝とにかく上野駅から一番早く出る汽車、それはどこへ行く汽車だってかまわない、北のほうへ五里でも六里でも行く汽車があったら、それに乗ろうという事になって、上野駅発一番列車、夜明けの五時十分発の白河行きに乗り込みました。

〜中略

ちょうど、東北地方がさかんに空襲を受けていた頃で、仙台は既に大半焼かれ、また私たちが上野駅のコンクリートの上にごろ寝をしていた夜には、青森市に対して焼夷弾攻撃が行われたようで、汽車が北方に進行するにつれて、そこもやられた、ここもやられたという噂が耳にはいり、殊に青森地方は、ひどい被害のようで、青森県の交通全部がとまっているなどという誇大なことを真面目くさって言うひともあり、いつになったら津軽の果の故郷へたどり着く事が出来るやら、まったく暗澹たる気持でした。

 

 

 

 

 

休館日のおしらせ

 

 

ことしの正月から山梨県、甲府市のまちはずれに小さい家を借り、

少しずつ貧しい仕事をすすめてもう、はや半年すぎてしまった。

六月にはいると、盆地特有の猛烈の暑熱が、じりじりやって来て、

北国育ちの私は、その仮借(かしゃく)なき、地の底から湧きかえる

ような熱気には、仰天した。机の前にだまって坐っていると、急に、

しんと世界が暗くなって、たしかに眩暈(めまい)の徴候である。

暑熱のために気が遠くなるなどは、私にとって生れてはじめての経

験であった。       

                                               太宰治「美少女」より

 

 

 

 

桜が過ぎて、もぞもぞしていたら、もう7月とは。

 

もぞもぞしていたのは変調して低調な体調のせいである。

 

5月末から魔女の一撃なる腰痛と帯状疱疹に続けて見舞われ、くじけた。

 

虚弱さが表出する周期なのかもしれない。

 

 

気力薄弱気味のところで

 

きのうと一昨日のひどい蒸し暑さに「ぐったりですね」と言ったら

 

関東地方からのお客様に「これは暑いうちに入らない」と笑われた。

 

 

本格的な夏が来る前に立て直さなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太宰治生誕日朗読会2018

 

座敷での朗読会においでいただきありがとうございました。

 

おかげさまで10回。こうして続けてこられました。

 

 

お昼には27℃くらいあった気温も16時には少し下がり

 

ゆるゆると開演。

 

 

 

 

 

 

 

太宰さんがつらい時代に書かれた作品と

 

美知子さんと結婚して穏かな時期に書かれた作品と

 

 

 

原きよさんの朗読で、新座敷が太宰の言葉で満たされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

断崖の錯覚は、読み終えて原さんも

 

「ズーンと重かったね」と言ってましたが

 

名作と言われる作品ではないものの中に

 

作家の人生の諸事情が見えて

 

はじめてこの作品を聴いた見学者の方が

 

「あるある・・・」とおっしゃっていました。

 

 みなさんいろんな感想を抱かれたはずです。

 

 

 

 

ここにかつて作家が暮らし創作をしたこと。

 

物語は繫がり、つながり、現在までその温度を感じる。

 

 

 親密感という言葉で語る人もいます。

 

太宰は私とどこかでつながっている

 

と感じさせてくれる稀有な作家。

 

 

 

生誕日に寄せて彼を思い、新たな興味が芽生える

 

そんな会であったらいいな。

 

 

 

 

 

 

今日からは普段通りの公開に戻っていますが

 

太宰さんの静かな日常も、ここにはあったのです。

 

まだの太宰読者の方、いつかぜひ、太宰さんの書斎においでください。