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手動でいきます

 

2007年から公開を始めた太宰治疎開の家が今年は12年目を迎えました。

10周年の時には特別な祝賀催事なども思いつかず、流れに任せて営業してきましたが、今年イノシシが干支を一周したところで尻をどつかれ必要に迫られ、ついに大きな事業をしました。当館の屋根の張替えです(部分)。12年前の時点で既に全体に老朽化(サビがまわって)していて、昔のコーキングの技術もマズかったみたい。以来、素人補修でごまかしながら、いやもう駄目だよな〜と眠れない雨の夜が精神的にも辛く、大出費でも、今年はもう職人さんに工事をお願いするしかないという、限界でした。大きな屋根を4面。4月と7月に分けて張り替え完了。同時に雨漏りの原因はこれだとやっと判明した外壁の塗り直しを自分で済ませ、ようやく安心して眠れるようになりました。

 もう一つ、自動ドアを手動に変更しました。それって機能ダウンのようですが、羽虫や雪に感応してガツガツ開くうるさい自動ドア。その度にスイッチ切りに走るのがずっとストレスでした。保護カバーを開けてみたら、ゴムベルトをモーターから取り外すだけ?なんて簡単!これはもっと早く気づけばよかったな。費用ゼロ。開閉が静かにスムーズになって驚いたこと。長年ずっと電気代捨ててたよ。

 

 どれもお客様には見えない改善で、館内は特段変わっていないわけですが、「もういちど太宰を読もう」と囁くお家をどうにかこうにか公開してます。

 

 

 

 

 

来館者や通り過ぎる方が毎日のように僕にいろいろな言葉をかけてくれます。

 

 

 

「こんなお宝の建物を持っていて、良かったですね〜!」(でも、いろいろあるんですがね。)

 

「古いお家を維持するのはたいへんなご苦労があるでしょう。お掃除やら経費やら。」(まあ、広いですし、雪処理がもう。)

 

「これは個人が所有していてはいけない。行政の力で買い上げてもらって公共の文化事業のために活用されるべきです。私が力のある方に話を通してあげます。任せてください。」(えっ、えっ? ・・・あれから何年間なにも音沙汰ないですが。)

 

「太宰が住んでたなんて嘘でしょう。こんなの津島家の建物じゃないよ。誰も知らないから作り話で儲けてるんだ。」(ご見学されませんか?・・・あ・・・そうですか。楽しんでくださいね。)

 

 

 

 今日最後のお客様が、「昭和20年の夏に太宰さんが疎開した時の「薄明」「たずねびと」に書かれた路線を辿ってここに来ました。とてもよかった。ここをゴールにしてよかったです。」と。

太宰さんの疎開についてすらあまり知られていない中で、それはたぶん初めてお会いした旅人です。

なんだかじわっとうれしい。

 

 

 もう一周できるか未来は判らぬがどうにかこうにか手動でいきます。

 

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