2023.11.10 Friday
2017.03.31 Friday
旅人類 03
酒場詩人・吉田類さんがじっくり巡る、大人の旅ガイド
札幌のあるた出版から旅人類03が3月25日に発売。
http://www.alter.co.jp/blog/info/205.html
新幹線で繫がり、フェリーも新造船が導入されて新しくなりつつある青函。
今号のテーマは「函館・青森から始まる。津軽海峡を越えて結ばれる縁(たび)へ」
【太宰治「津軽」を旅して】のエッセイには太宰治疎開の家も取り上げていただきました。
1年に1冊だけの刊行とあって、丁寧な取材記事やエッセイ、写真
どれも多くのガイドブックには無い、深く充実した内容。
類さん。
春の青森・函館、うずうず・・・旅したくなりました。
2017.03.28 Tuesday
十年の疲労
もう限界なのだと、前にも書いた。
メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、
翌 る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩
いて来る兄の、疲労
困憊 の姿を見つけて驚いた。
風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。
呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。
太宰治疎開の家の公開を始めて十年間、お客様の前で開いてみせた本が
もう駄目だ。
テープや糊で補修してここまで耐えたが、
開くたびに、ぱらと足元に表紙の欠片が落ち、ページの折り目が裂け、
きのうついに
一歩も走れなくなった。
メロス…限界。
十年は友の待つ刑場の門であったと思えばあっぱれ
王にも褒められよう。
特別なセレモニーはないが、太宰屋の本棚に殿堂入り。
二代目にたすきをわたしてゆっくりお休みくだされ。
満身創痍の英雄にもいつか会いに来てください。
2017.03.20 Monday
津軽半島通信
2017.03.14 Tuesday
休館日のおしらせ
2017.03.11 Saturday
穏かに日が暮れた
太宰治疎開の家の屋根の上に見える五所川原市金木総合支所(旧金木町役場)が
もうじき解体されるそうだ。
およそ半世紀。昭和44年の建設からこの町の中心にそびえて
50年代の商店街の活況も衰退も10年前の市町合併も、
そして東日本大震災の日もここにあった。
風情もないコンクリートそのままの、親しみを覚えるような種類の建物ではないけど
歴史が一つ閉じられていくようなさみしさはある。
経年の設備の老朽化ということも効率性ということも
あの地震以降は耐震性ということも問題になったのかもしれない。
どんなに頑強な原発施設にだって修繕では耐えられなくなる寿命があるんだ。
6年前の地震の時は、こんなに雪は残ってなかった。
ぼんやりした曇り空だった。
いろんなことを忘れてはいけないけれど、
積み重なる毎日の出来事で、記憶の輪郭はぼやけてきているな。
今日は静かなこの川だって十数年前、改修後の豪雨で氾濫したことがある。
景色や建物が変わっても隠されても
無かったことになってはいけない記憶。
それはいつかまたあると覚えておいた方がいい。