スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

辿りついた生家



『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

東京と甲府市の戦禍から逃れて、上野から汽車を乗り継ぎ乗り継ぎ4日目。
70年前の今日、7月31日に太宰一家は生家に辿りついたのでした。
それにしても、幼子を連れて冷房がない硬い座席の汽車に揺られ、
多くの疎開者とともに充満するむんむんとした臭気を呼吸して、

いつになったら津軽の果の故郷へたどり着く事が出来るやら、・・・『庭』より

ろくな食べ物や冷たい飲み物もない真夏の旅はどんなにか長かっただろう。
自分の身に起こっている事と思えば、想像を絶するものがあります。

生家では皆、笑顔を以って迎えてくれた。私のお膳には、お酒も付いた。・・・『庭』より


今日の金木は最高気温33℃と猛暑で、新座敷の見学者も汗が噴出すほど蒸し暑い中でしたが、
その日もきっとこんなふうに暑かったでしょう。


 

明日は青森市空襲から70年

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

明日7月28日は青森市空襲から70年という日。


太宰治『たずねびと』より...

昭和二十年、七月の末に、私たち家族四人は上野から汽車に乗りました。私たちは東京で罹災してそれから甲府へ避難して、その甲府でまた丸焼けになって、それでも戦争はまだまだ続くというし、どうせ死ぬのならば、故郷で死んだほうがめんどうが無くてよいと思い、私は妻と五歳の女の子と二歳の男の子を連れて甲府を出発し、その日のうちに上野から青森に向う急行列車に乗り込むつもりであったのですが・・・中略・・・ ちょうど、東北地方がさかんに空襲を受けていた頃で、仙台は既に大半焼かれ、また私たちが上野駅のコンクリートの上にごろ寝をしていた夜には、青森市に対して焼夷弾攻撃が行われたようで、汽車が北方に進行するにつれて、そこもやられた、ここもやられたという噂うわさが耳にはいり、殊に青森地方は、ひどい被害のようで、青森県の交通全部がとまっているなどという誇大なことを真面目くさって言うひともあり、いつになったら津軽の果の故郷へたどり着く事が出来るやら、まったく暗澹たる気持でした。


 この大空襲の夜、青森市では幼少のもう一人のシュウジ(寺山修司)が母親と共に焼け出された。
平和ボケと言われる戦争を体験していない世代の僕たちも、彼らの戦慄を思うことでもっと身近に、再び起こるかもしれない事態について考えを持っていないと、と思います。長く平和が続くために過去を学ぶ意味があります。

夕方、用事で青森市に出かけました。ベイエリアでのんびりと夕暮れを楽しむたくさんの人たち・・・平和であればこそです。
自由民主党が推し進める安保法案について、もし太宰さんが、寺山さんが今の時代に生きていたらどんな言葉を若い世代に語るでしょうね。


 

陶工房ゆきふらし展in太宰治疎開の家

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。




ゆきふらし・・・ふしぎな響きの名の陶工房は、

太宰が『津軽』の旅で生家に帰り、
「・・・四人で、金木町から一里ほど東の高流たかながれと称する二百メートル足らずの、なだらかな小山に遊びに行つた。」

と書いた、その小山の麓(ふもと)にあります。




7年というと、当館公開の翌年ですね。

何度かお話することはあっても、しばらくはどんな作品を焼いているのか知らなかった。

数年前に工房でなんとも素敵なランプに出会い、太宰ランプをオーダーして制作してもらいました。

いつからか、ここで夫妻の作品を紹介できたらなあと思うようになっていたのですが、

このたび、館内にギャラリーをオープンさせていただくことになりました。

ふだん使いの手になじむ器や 土と和紙のやさしい灯りのランプ・・・

当館では初めての展示会。

ゆきふらしギャラリーへの入館は無料です。

どうぞおいでください。






太宰治疎開の家/旧津島家新座敷
青森県五所川原市金木町朝日山317−9
電話0173−52−3063

太宰治記念館「斜陽館」から徒歩4分です。 駐車場は4台

 

笹もち戴きました

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

 

お蕎麦屋の門口にれいの竹のお飾りが立っている。色紙に何か文字が見えた。
私は立ちどまって読んだ。たどたどしい幼女の筆蹟である。

オ星サマ。日本ノ国ヲオ守リ下サイ。...

大君ニ、マコトササゲテ、ツカエマス。

はっとした。

      
                         太宰治『作家の手帖』(昭和18年)より


 

大人の都合で子供にこんな祈りを書かせてはいけない。
明日は七夕。
一日先に、笹もちが届きました。




 

1