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一日の労苦は一日にて足れり



『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。
春休みや卒業旅行の大学生が太宰さんの部屋に来ています。


明日のことは思ひ煩ふな、明日は明日みづから思ひ煩はん。
一日の労苦は一日にて足れり。・・・新約聖書マタイ伝・・・


太宰治は聖書から引用して「一日の労苦」というエッセイも書いています。
繰り返し繰り返し作品の中に使い、幾度となく人に語った、
彼を支え救った章句は、若い読者への贈り物だなあ。

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生活が作品である。しどろもどろである。私の書くものが、
それがどんな形式であろうが、それはきっと私の全存在に素直なもの
であった筈である。この安心は、たいしたものだ。すっかり居直って
しまった形である。自分ながらあきれている。どうにも、手のつけよ
うがない。     
「一日の労苦」より

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一日一日を、たっぷりと生きて行くより他ほかは無い。明日のことを
思い煩わずらうな。明日は明日みずから思い煩わん。きょう一日を、
よろこび、努め、人には優しくして暮したい。
「新郎」より


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天才の実

                 太宰治「親という二字」より

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

ご見学のお客様と、短い時間にいろいろな話をします。いや、あまり話をしないこともあります。今日は岡山県の大地主の末裔である方のお話を聞いたり、太宰をたくさん読んだという千葉のお客様と「お伽草紙」についてお話をすることになったり。先にみえたのが岡山の方であったことの連想で、太宰の「お伽草紙」から芥川龍之介の「桃太郎」について話が飛びました。


しかし未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。あの大きい八咫鴉(やたがらす)は今度はいつこの木の梢へもう一度姿を露すであろう? ああ、未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。


これは結末の文章ですが、あのあと日本は支那事変へと・・・今の時代に読んでもまた、思い当たるあの人物、あの天才。そして終わらない圧迫と反発、憎悪の連鎖。気味の悪い戦慄を覚え、桃太郎はあたかも元々そのような話であったのではと思わせてしまう語りの巧さです。読んで感じてほしいので詳しくは書きませんが、未読の方にお奨めいたします。




吹雪の日?

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

津軽平野ではこの時期、地吹雪体験ツアーが有名ですが、
せっかく体験しに来たのに雪にふられてしまった方もいたと思います。
今日は地元の人が見ている地吹雪をご覧ください。2月9日の様子です。

太宰治疎開の家facebookページ動画へ ※訂正。映像のクレジットに2014年と書いてしまいましたが、2015年の誤りです。




吹雪の日



『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

一冬のうちに何度もないだろう、このように激しい吹雪。風に向かうと細かい乾いた雪がバシバシと目を突くので手で顔を覆いながら家路につきました。
こんな日でも、太宰さんに会うために、音のない言葉を聞くために、旅人がほとんど雪像寸前といった様相で新座敷を訪ねてみえる。顔が凍り吸う息も苦しい白い世界の話なんて、きっと忘れられない津軽の思い出は、それぞれの場所でどんな言葉と文脈で語られるでしょう。
今日も遠方から来てくださった印象的な方たち、ありがとう。


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兄はこう言った。「小説を、くだらないとは思わぬ。おれには、ただ少しまだるっこいだけである。たった一行の真実を言いたいばかりに百頁の雰囲気をこしらえている」
私は言い憎そうに、考え考えしながら答えた。「ほんとうに、言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることができるならば」

                         太宰治『葉』より






芦野公園でイルミネーション点灯

〜雪と光のページェント〜

五所川原市金木町の芦野公園では、ただいま2月2日(月)〜8日(日)イルミネーションが楽しめます。
最終日の8日にはいろいろなイベントもありますよ。



詳しくはかなぎ元気倶楽部HP
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