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弘前の方じゃなくても『弘前多譚』世良 啓 著

 

世良 啓さんは、太宰治疎開の家を公開して間もない頃、太宰生誕日の6月19日に見学に来てくださいました。

たしか「弘前ペンクラブのバスに乗って芦野公園の太宰治生誕祭に参加したものの、帰りのバスに置いて行かれてしまったので、せっかく金木に来たのだし急ぐ理由も無くなったし立ち寄りました。」という初めてだったと思います。

ちょうど叔父と叔母を弘前まで車で送るので一緒に乗って行きますか?と、それからの長いお付き合いです。

その後、度々太宰さんに興味のあるご友人を連れてきてくださり、未年生まれの同い年で、国語の先生で、文筆家であることも知りました。好奇心旺盛で、実は無防備でなかなか面白いちゃかしであることも知りました。それから暫くして2011年1月、小説『ロングドライブ』で地元新聞主催の第1回東奥文学賞を受賞されたのを紙面で知って驚きました。

 

そんな世良さんがタウン誌・月刊『弘前』にエッセイ「多々他譚」を連載してきました。2011年の震災の後からだそうです。

月刊『弘前』は主に弘前市の書店やカフェなどに置かれており、年に10回ほどしか弘前に行かない僕はほんの数冊しか手に取ることができなかったのですが、見開きの短文が面白おかしく、「ああ世良さんだ〜」とクスリ。それが2021年で10年、連載120回になったそうです。それらを収録した『弘前多譚』。世良啓さんの初めての単行本を当館でも販売させていただくことになりました。

 

真っ白な表紙には小さな飴玉のような林檎。ご自身で一冊ずつ掛けた桜色のオビには

 

   山は岩木山、城は弘前城、それが日本一なんていう

   父みたいな津軽人には絶対なるまい!と思ってた

 

僕はいま78回「ようこそ」(2017年)を読み終わったところ。弘前のカフェ「時の音」で東京から弘前に移住した女の子と出会ったお話。これまで読んでいなかった回をワクワクしながらまとめて読んでいます。

 

 

 

巻末のタイトル索引は掲載年順にびっしり120。読みたくなっちゃうでしょう。

 

連載が始まったのが震災の年

まえがきには

 

    あれから変わってしまったこと、変わらなかったこと、

    忘れてしまったこと、忘れられないこと、いろんなことがありましたね。

    私の10年はこんな風でした。あなたはどんな10年でしたか。

 

世良さんが綴った120か月を読んで、自分の10年のいろんな記憶が芋づる思い出されてくる。そんな『弘前多譚』当館でも販売しています。弘前の方じゃなくてもぜひどうぞ。

 

北方新社 263ページ ¥2,200(税込)

 

 

 

 

 

 

 

 

The Uses of Literature in Modern Japan

 

 

今日、1冊の本が届いた。

 

 

マサチューセッツ大学の研究者が見学にみえたのは今から4年前、2014年。

 

文学者ゆかりの建物が現代日本でどのように活用されているのか取材中で、

 

当館はほかに例を見ないユニークな公開の仕方である、

 

という感想をいただいて、

 

その後、メールでインタビューをやり取りしたが、

 

届いたのは、文学の出版文化史についての研究プロジェクトをまとめた本であった。

 

青い付箋が貼られたページを開いたら、あ!

 

 

 


 

 

 

太宰さんの書斎で、こんな風にして書いてたんでしょうね、と座ってみた僕です。

 

英文をたどたど読むと、僕の太宰治語りについて紹介されていた。

 

恥ずかしいけれど、とても嬉しい。

 

 

この本がアメリカでどういう読まれ方をするのかわからないけど、

 

もしもアメリカの読者が訪ねてきても、ああ申し訳ない。

 

英語でガイドはできないです (;^_^A

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たすけて、おとうさん

本を読むのが遅い。

いくつかの本を持ち歩いたり、家の数か所に置いてあったり、

今なら読めると思ったタイミングで、読みたいものは違うので、

並行して数冊を何ページかずつ読んでいると、結末までの道のりは長く、

再開する度に、思い出しのために重複部分を読んだり、

しばらく積ん読の下になったものは途中で興味を失ってしまう本も少なくない。

だから余程急いで読む必要がある場合を除けば、

一気に一冊を読了することは稀かもしれない。

 

こんな僕の癖には短編集はありがたい。

風呂で一篇読んでしまうこともできなくはないから。

 

 

 

 

先日、作家の大岡玲さんが太宰治疎開の家にみえた時、

昨年読んだ「たすけて、おとうさん」を棚から引っ張り出して

できればサインをくださいとお願いしたら、

最初のページにていねいに書いてくださった。

きれいな青いカバーのこの短編集は良かった。

語りのラインに感心してしまう魔法のことばつかい。

時に風呂が長くなり、のぼせて困った。

 

ピノッキオや星の王子さまやグスコーブドリの伝記・・・

名作をベースに現代の別な物語が童話風に語られるのだが、

挟まれた名文から皮肉や深い悲しみや疑問が立ち上がって来て

何度もぞわっとくる。

 

あれから一篇ずつ、また読み返している。

 

 

「たすけて、おとうさん」大岡玲著 平凡社 http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2015092000013.html

 

 

 

旅人類 03

 

 

 

酒場詩人・吉田類さんがじっくり巡る、大人の旅ガイド

 

 

 

 

札幌のあるた出版から旅人類03が3月25日に発売。

http://www.alter.co.jp/blog/info/205.html

 

 

新幹線で繫がり、フェリーも新造船が導入されて新しくなりつつある青函。

 

今号のテーマは「函館・青森から始まる。津軽海峡を越えて結ばれる縁(たび)へ」

 

 

【太宰治「津軽」を旅して】のエッセイには太宰治疎開の家も取り上げていただきました。

 

1年に1冊だけの刊行とあって、丁寧な取材記事やエッセイ、写真

 

どれも多くのガイドブックには無い、深く充実した内容。

 

 

 

 

類さん。

 

春の青森・函館、うずうず・・・旅したくなりました。

 

 

 

 

 

購入はこちら

 

 

 

 

 

 

 

メリイクリスマス

 

息子たちはそれぞれに離れた場所でクリスマスを過ごす

 

サンタクロースが来なくなった我が家でも

 

大切な家族が元気でいるだけでありがたい

 

 

 

漫画家ヤマザキマリさんのブログhttp://moretsu.exblog.jp/23351362/より

 

 

 

神の御子は今宵しも

 

届いた贈り物

 

 

 

丁寧にていねいに描かれたすずさんの物語

 

心の中に繰り返す、すずさんの声

 

この世界の今に続く物語

 

 

 

息子たちは涙するだろうか

 

 

メリイクリスマス🎄

 

 

 

 

母はおちぶれても、おいしいものを食べなければ生きて行かれないというたちのひとだったので、対米英戦のはじまる前に、早くも広島辺のおいしいもののたくさんある土地へ娘と一緒に疎開そかいし、疎開した直後に私は母から絵葉書の短いたよりをもらったが、当時の私の生活は苦しく、疎開してのんびりしている人に返事など書く気もせずそのままにしているうちに、私の環境もどんどん変り、とうとう五年間、その母子との消息が絶えていたのだ。
 そうして今夜、五年振りに、しかも全く思いがけなく私と逢って、母のよろこびと子のよろこびと、どちらのほうが大きいのだろう。  〜太宰治『メリイクリスマス』より〜 

 

 

 

 

夜を乗り越える

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

 

又吉直樹さんの新刊書『夜を乗り越える』(小学館)を読了しました。

 


これまで又吉さんが多くの本を読むことで世界とどう向き合って生きてきたのか。

体験と思索の数々をとても興味深く読みました。タイトルに込められた意味に共感。

又吉さんというパーソナリティーを通して、ひとつ何か読んでみようと思わせてく

れる魅力的なエッセイ集でした。

ここでお会いした時にも謙虚な佇まいが素敵で、この柔らかさはどこから醸し出さ

れるのだろうと思いましたが、この本で彼の背景に触れて、その読書体験に近づい

てみたい、読まなきゃと思う作品も見つかりました。

 

 

 

 

写真集『太宰:森山大道』ヴィヨンの妻/中国語訳収録

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

 

 

 

 

 

6月19日の太宰治生誕記念日朗読会の際に紹介された、

 

写真集『太宰:森山大道』ヴィヨンの妻/中国語訳収録

 

国内では50部という希少な本を当館で取扱い中です。

http://dazai-ya.shop-pro.jp/?pid=103761264 

 

 


世界的に注目される写真家・森山大道氏の世界観と太宰文学作品がひとつになった美しい写真集。

 

ケースから取り出すと、独特な深い色味と和紙の重層的な質感の装丁に

 

遺跡から発掘されたものかのように感じました。

 

 

 

背のタイトルは箔を使わずに、深く刻印したような空押し

 

 

 

天地小口はザクリと削ったように荒く仕上げられ、

 

 

 

開けば、鋭く切り取られた知られざる時間

 

 

ヴィヨンの妻/中国語訳に寄り添うイメージでありながら

 

ひとつひとつの写真からアート作品として強烈なオーラを感受します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いろいろな角度から眺めてしまう素敵な本です。

 

 

 

 

当館で、どうぞ手に取ってみてください。

 

 

 

 

太宰屋

写真集『太宰:森山大道』ヴィヨンの妻/中国語訳収録

http://dazai-ya.shop-pro.jp/?pid=103761264 

 

 

 

旅の手帖掲載

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

これまでも幾度か取り上げていただいた『旅の手帖』誌。





この3月号の特集は達人と行く鉄道旅

今号は特にどのページも美しい写真ばかり。

目玉は いよいよ3月26日祝開業!北海道新幹線の旅です。

ありがたくも太宰治疎開の家」も取材してくださいました。

ライターの方にお話をしている間にカメラマンさんがいろいろ写真を撮っていましたが

69ページからの津軽半島人情めぐり旅に

わ〜店長の顔出しが採用となっとりました!


新幹線で函館を目指したら、人情めぐりに寄り道に来てくださ〜い。








 

まっさん!

『もういちど太宰を読もう』
終戦直後に23作品が書かれた『太宰治疎開の家』旧津島家新座敷です。

まっさんの世界にどっぷりです。
小中学生の頃にラジオであの喋る喋繰る口に出会い、
その話の楽しさ、やさしさ、見る目の鋭さに感心し、
句会で教養をいただき、三国志の語り部ぶりにコーフン。
目に浮かぶような切ない歌物語にプルプルしながら
すっかりまっさんにはまったのでした。


僕の「まっさん」はさだまさし。
まっさんには「帰去来」という、太宰作品と同名のアルバムもありますが、
「風のおもかげ」というアルバムには「津軽」という曲もあって、
そのライナーノートには

「子供の頃僕は東北が大嫌いだった。じめじめと凍える土地、日陰の町。そんなイメージが悲しすぎて耐えられなかったのだ。それは僕が九州生まれだからだったろう。東北はあまりにも遠すぎ、さいはての印象しか持てなかった。」

「高木恭造さんの津軽方言詩集『まるめろ』に出会った時、僕は津軽に恋をしたのかもしれない。」

「いつか津軽が歌えたらいいと思っていた。だが手に負えなかった。」

「僕は生まれて初めて、自分の歌の中で旅人になった。津軽はやはり遠かったのだろうか。」

「多分僕はこれから今までよりも深く津軽を見つめていくのだろう。そうして、死ぬ迄に僕の内に僕の津軽を発見するのだ。ぼくは今ようやく、津軽の入口に立てたのかもしれない。」



そのまっさんが書いた物語にどっぷりです。

〜この国には古来、「不思議」が満ちていた〜京都の旧家で行われる謎の儀式を描く表題作ほか、鬼が現れるという信州の鬼宿、長崎に伝わる不老不死の石など、旅の中で出会った伝説をまっさんが語る奇譚集。

「はかぼんさん〜空蝉風土記〜」さだまさし:著 新潮社:刊

第一話 はかぼんさん 
第二話 夜神、または阿神吽神 
第三話 鬼宿 
第四話 人魚の恋 
第五話 同行三人 
第六話 崎陽神龍石



表題作の「はかぼんさん」からぐいっと引き込まれましたが、
第四話の「人魚の恋」は津軽が舞台のお話。
津軽のあなたにもおすすめまっさんワールド。


世界でいちばん好きな人



終戦直後に23作品が書かれた旧津島家新座敷『太宰治疎開の家』です。



こんな寒い季節には温かい名曲